技術書典 代表 @mhidaka です。
技術書典4のサークル参加申込受付にあわせて技術書典3のサークル参加アンケートを公開します。
技術書典とは
技術書典とはTechBooster(mhidakaが代表の技術書をかくサークル)と達人出版会(takahashimが代表の電子技術書出版社)が主宰している技術書イベントです。
広く技術のことについて知れるお祭りです。
技術書典4は2018年4月22日開催、技術書典2と同じく春場所です。前回に引き続き秋葉原UDXホール(アキバ・スクエア)です。
1月24日 23:59までサークル参加受付中です。
本エントリを読んで興味がでたら是非お願いします。
技術書典3開催情報(振り返り)
第3回 技術書典
日時:2017年10月22日(日)11:00~17:00
場所:秋葉原 UDXホール
サークル参加:合計193サークル(個人170・企業23)
来場数:延べ3,100人、実人数2,750人
第3回は風雨のなかでの開催となりましたが新規導入の整理券システムにより行列の発生や混乱もなく開催できました。当日の様子は次がわかりやすいです。
行列問題を解決すべく整理券システムを導入、入場待機用の見本誌会場やくつろげる戦利品会場を用意していました。
整理券システムの副作用で一般来場者、出展者数ともにユニークユーザー数が把握できるようになりました。
参加者数は延べで3,100人、実人数で2,750人です。
実人数の計測手法は、整理券の配布数を採用しているため実際に入場していない人もすこし居そうです
(延べ人数は入場時に人力でカウントしてます)。次回以降はより実態をあらわす実人数での指標に変更していきます。
なお第2回開催が延べ3,400人(入場時カウントの総数)でしたので差分は300人です。
はじめての秋開催ということでサークル参加、一般参加ともに参加者数が読めないかたちでスタートしましたが
ふたを開けてみると風雨に負けず熱気覚めやらぬ第3回になりました。
入場いただいた一般参加者のみなさん、当日参加いただいた出展者のみなさん、ありがとうございました。
ウェブ上には参加レポートなどがあります。さがしてみてください。
以下はこれまでの技術書典のアンケート結果です。あわせてどうぞ。
本の対象範囲
技術書とは、「ITや機械工作とその周辺領域について書いた本」を指します。ソフトウェア、ハードウェア、開発環境、コンピュータサイエンスからその他科学・工学全般などのジャンルを対象としています。たとえばプログラミング解説書のように現存する技術要素の解説を行うもの、架空の工学、未知の科学技術なども対象です。また作ってみた、やってみた、など体験談や考察、上記のジャンルに付帯した開発効率を高める方法のようなライフスタイル、実体験も歓迎します。自分の積み重ねてきたマニアックな技術や成果、ノウハウを詳細に書き記し世に広めたいとは思いませんか?
技術書典はハード、ソフト、機械、科学、エンジニアリングに関わるその他ライフスタイルや考察など技術ジャンルを問わず
「技術」をテーマにしたお祭りです。たとえばTechBoosterは主にソフトウェア、あとハードウェアをチョットデキル感じです。
アンケート結果
アンケートは104サークルから回答をいただきました(回答率53.9%)。ありがとうございます。
アンケート結果は過去に学び未来を掴み取る統計情報として毎回まとめているものです。
技術書典4での確固とした指標になる!という感じではありませんし、各項目必須ではない&多値回答可能ですので合計値が104になるわけでもありません。
参加サークル調査
執筆活動について尋ねました。「執筆は初めて」「コミケなど他のイベントに参加したことがある」「商業誌、ライティング、レポートなど商業でも活動している」「その他」からの多肢選択式です。
今回は初めての人が約25%です。前回のアンケートでは22%でしたので微増です。
商業誌への寄稿、著書がありプロとして活躍されている方は20%、また自由投稿として技術書典から執筆を開始したとの回答が13%ありました。
今後、技術書典が回を重ねるごとに増えていくことになりそうで嬉しい限りです。
技術書典では初心者向けの技術書の制作、執筆勉強会を定期的に開催しています。
https://techbookfest.connpass.com/ メンバーになると勉強会の開催時に通知が届きます。
プロの編集さんや出版社さんからゲストをお招きしています。技術書執筆に際しての相談や添削が受けられます。
持込部数
当日、持ち込んだ数はサークル単位では平均160部が持ち込まれています。
前回から新刊と既刊に分離して計算しているのでこちらも掲載しておきます。
ここでの新刊は技術書典にはじめて出した本という定義です。100%今回はじめて書き下ろした技術書ではないので注意してください。
- 全体:平均164部、最頻値100部、中央値113部
- 新刊:平均117部、最頻値100部、中央値100部
- 既刊:平均 87部、最頻値 50部、中央値 50部
既刊の増加傾向があります。これは技術書典2で頒布したものを継続して取り扱っているためでしょう。
新刊が用意できたサークルについては中央値が78から100に増加し、最頻値と一致しました。用意する部数の指標が100部となっているようです。
平均的なサークルでは1種あたり100部を目処に新刊と既刊の持ち込み比率は10対4、おおよそ4割のサークルで既刊を扱っています。
前回に引き続き、価格帯はアンケートを取っていません。観測範囲では500~1000円が多かったですが、
無料や数百円のものから2000円を超えるものまで幅広くありました。TechBoosterは1冊1000円ですが、価格と売り切れの相関は強くありません。
一般参加者は純粋に面白いと感じた本を買っているようです。
頒布部数と完売率
当日の頒布部数はサークル平均119部、完売率は64.7%です。前回比で14ポイントの減少です。来場者数が10%程度減少していたこと、大規模開催2回目ということを踏まえると多少の低下は違和感がありません。風雨というコンディションで持ち込んだ本の6割強を頒布した実績は評価が分かれますが、ポジティブにいえば底堅い需要、ネガティブにいえば天候に影響されるというイベントの特性が数字に現れています(また同日は衆議院の総選挙もありました)。
サークル単位では40%のサークルで完売(書籍が品切れ)を起こしています。
早いサークルで12時までに完売(全体の10%)、14時にかけてさらに20%が、15時までに全体の40%のサークルで
新刊、または既刊いずれかが完売になっています。前回比で10ポイント程度減少しています。
当日は開場直後(1時間以内)に新刊が売り切れたサークルが10%程度ありました。こちらは前回比で5ポイント上昇しています。
人気のある新刊が早期に売り切れたことがわかります。
全体を通しても14時(開始3時間)の段階で30%のサークルの頒布物(新刊or既刊)がなくなっています。
この図はアンケートをもとに横軸に持込部数、縦軸に頒布数で新刊を散布したものです(データは加工しています、同じ場所へのプロットは重なってしまっています。このために完売した新刊数が少なく見えています)。
赤色で書き足したラインが完売線です。プロットしたポイントにかぶらないよう多少上に引いてます。補助線のようなものだと考えてください。青いラインが全体の平均を示すトレンドライン(平均線)です。紙の本を持ち込むことが多いため、横軸の100部、150部、200部に集団があります。これは印刷所の都合です。100部までは細かい発注が可能ですが、以降は単位が大きくなるためです。
赤い線に近いと完売で供給が需要を満たしきれなかったケースです。青い線を下回っているケースは供給過多となってしまったケースです。新刊部数が100部を超えると多くの場合、青い線を上回っています。需要予測に対応できている中堅以上のサークルといっていいでしょう。最も集中している横軸が100部の付近では青い線(トレンドライン)を下回るケースが目立ちます。50部以下では予測が難しく、人気が出た場合、すぐさま赤い線(完売)に衝突します。これはニッチなものがウケた、または新技術が爆発的に伸びるなどさまざまな要因が絡み合った結果でしょう。
頒布情報
アンケート結果から当日の全サークルの頒布数は20,000冊前後、参加者一人あたり7.2冊を購入しており、完売率は64.7%です。
(今回から実人数でのカウントのため、1人あたりの購入数は見かけ上増えていますが延べ人数でも前回とほぼ同じ水準です)
前回より大幅な落ち込みを心配しましたが、あいかわらず2万冊の技術書が1日で流通しています。
今回は天気に恵まれませんでした。この数字が底だと見るべきか、需要がおちつき今後も同様の傾向で推移していくのかは不明です。
新しい傾向としては、まとまった数の新刊を用意したにもかかわらず1割のサークルが開始1時間で在庫がなくなるという現象は人気の過熱(またはその前兆)を見せているのかもしれません。一方、需要予測は難しく、100冊を用意したもののトレンドラインを下回ってしまうケースも散見されています。参加者からのフィードバックとしては頒布されているのか完売しているのか、またどのような内容かわかりにくいという声もありました。mhidakaが見聞きした限りでは変な技術書というのはあまりありません。本の内容はよいにもかかわらずブースでのレイアウトや表紙などぱっと見たときに良さを伝えきれずにいる可能性があります。
さらに調査したところ、意外なことに「執筆がはじめて」を選択したサークルのほうが完売率が高く75%を超えていました。
念のため持込部数を確認しましたが、平均100部強、中央値も100部と全体との差異はありませんでした。はじめてのチャレンジということで多くの調査や準備があったとはいえ、よい結果に驚いています。
反対に「コミケなど他のイベントに出展したことがある」場合は完売率は57%です。既刊の持込が増えたことから単純に前回の頒布で入手した、夏コミですでに入手していたという事情が考えられますが技術書典では参加者は新しい技術や見たこともない技術書と出会いにきており、新刊がシリーズであったり既刊(を発展させたもの)であったりする場合は定着がおきて頒布数への影響が小さいという状況であるかもしれません。
執筆がはじめての人が受け入れられやすい現状は、技術書典の継続開催には朗報といえます。
雑感
コミケに参加する層(サークル参加者・一般参加者)にとっては夏と冬の短い期間での開催です。新刊を用意しづらい時期というのは少なからず影響があったのではないかという直感があります。かくいうTechBooster(mhidakaが主宰するサークル)も新刊を1冊しか用意できませんでした。
技術書典では新刊の定義を「技術書典において初めて頒布するもの」としていましたが、さらなる分析のためには詳細な分類を用意するなどアンケートの工夫が必要と考えています。また技術書典4のサークル申し込みの状況を見ていると、これまでとは異次元の速度で応募数が増えており、技術書典3で本当に落ち着いたのか、主催者自身も判断できていません。
台風かつ衆議院選挙とも重複するという日程での開催となり、傾向を分析するだけでも特別な要因が多く、なかなかわかりません。
頒布にかかわることは大事な要素ではあるもののすべてではありません。適切な数値を出していくことで、サークル参加者、一般参加者が技術書典に参加して楽しかったなと感じ、また次も行きたい、新しい技術に出会えてよかったといえるイベントを目指していきたいと考えてます。
サークルの体験向上に繋げるアンケート
1:全然なかった~5:十分あったの5段階評価です。
話しやすさの面については前回(も雨だったこともあり)大きな差はなさそうです。今回の配置は人が固まることもなくスムーズに流れており、
好評でした。
「見本誌による説明」「実演を行った」「タブレット、PCによる展示」「ポスターの掲示」「お品書きの用意」「その他」からの多肢選択式です。展示方法は見本誌、実演、タブレットによる展示が一般的でした。お品書きの項目がやや伸びています。
今回からサークル入場は事前送付したチケットを利用する形に切り替わっています。半券での再入場など、おおむね好評でホッとしています。
サークルチケットは出展者さんが楽しんでもらえるかな、とデザインなども工夫したものを使いました。
今回より列形成をなくし、整理券システムでの順次入場に変更しました。出展者からは概ね好評と受け止められています。
今回もきわめてよい回答で驚いています。ありがとうございます。次回もよいイベントになるように改善していきます。
おまけ
次回開催では晴天祈念を予定に組み込みます。
技術書典4 is coming.
技術書典4は2018年4月22日にアキバ・スクエア(秋葉原UDXホール)で開催します。ただいまサークル申し込みを受付中です。本エントリを読んで興味をもった方は是非サークル応募をお願いします。
来場者数は3500名を想定して技術書典3を踏まえてよりスムーズに運営できるようスタッフ一同頑張ってます。