技術書典3で提供した収納代行のかんたん後払いの利用レポートです。
システムの詳細は次の紹介URLから確認できます。
ざっくりと説明すると出展者の収納を代行し、参加者から代金を回収します。
この手の収納代行は多くの場合即時決済ですが今回のオープンβでは運営がすべてのリスクを引き取るかたちで後払いを実現しています。
万一、参加者から代金が支払われなくとも(収納を代行し、代金を回収するのは)技術書典運営事務局なので、サークルには全額を支払います(ました)。
今回のレポートは利用統計をまとめたレポートです。
電子決済とリアルイベントがどのように関連するか技術書典で調査した数字として紹介します。
技術書典とは
技術書典とはTechBooster(mhidakaが代表の技術書をかくサークル)と達人出版会(takahashimが代表の電子技術書出版社)が主宰している技術書イベントです。
広く技術のことについて知ることができるお祭りです。
技術書典3開催情報(振り返り)
第3回 技術書典
日時:2017年10月22日(日)11:00~17:00
場所:秋葉原 UDXホール
サークル参加:合計193サークル(個人170・企業23)
来場数:延べ3,100人、実人数2,750人
技術書典3そのものの振り返りはこちらをご確認ください。
利用統計
かんたん後払いを利用したサークル数は62サークルでした。技術書典3全体の参加サークル数は193です。利用率は32%です。
オープンβではAndroid端末でしか購入できなかったこと、サークル側もAndroid端末及びWebシステムの管理アプリしかない条件でした
(つまりiOSアプリが無いという条件での実施です)。
利用者数は195名です。来場者数2750名(UU)でしたので利用率は7%です。
今回、運営では操作に習熟してもらうためのおためし製品を用意していました(これはいくら購入しても0円でした)。
おためし操作を除いて実際に購入代金の支払いが発生した利用者数は159名、利用率は5.7%です。
後払いの回収率は99.5%、未払いは0.5%でした(2018年2月現在)。
利用者像
1利用者あたりの平均金額は3777円、4.4サークルを回っています。最高18000円を超える利用がありました。
縦軸が利用者数と全体に占めるパーセンテージ、横軸が利用金額です。
技術書典3の全体レポートによると参加者一人あたり7.2冊を購入していますが、かんたん後払いの利用者に限ると(利用率から逆算してみると)約14サークルをまわり、11000円を購入に使っていると推測できます。かんたん後払いの利用者は全体の平均値とくらべ利用率が高く、2倍程度の開きがあります。
アーリーアダプターに近い属性であることを考えると違和感はないかもしれません。
サークル利用
かんたん後払いを利用した62サークルについてもサークル側の視点でまとめました。
こちらはこれまでの実績値がありませんので今回はじめて計測できた貴重な利用動向です。
当日の総トランザクションは681です。これは大雑把に681冊の書籍が頒布されたことを示します(1回の決済に複数書籍が含まれている場合があるので実際は多少上振れしそうです)。合計した売上金は60万円弱、1冊あたり平均870円程度です。
トランザクションに出てくる書籍の価格は頻出値が1000円、続いて500円です。
1サークルあたり11冊を頒布しており、売上金額はおおよそ9500円です。
技術書典3の全体レポートを見返すと当日の頒布部数はサークル平均119部です。1冊あたりの平均金額870円から計算すると10万円程度の売上金のなかから
印刷費や執筆にかかる費用をやりくりしていると想像できます。
ユーザー動向
かんたん後払いではトランザクションのタイミングが記録されているため、どの時間帯にもっともよく書籍を頒布しているか、客観値が得られます(POSシステムと同様の働きをしてくれています)。
利用のピークは11時(開場直後)にあり、12時から14時にかけて減少していきます。15時~16時(終了は17時)では大きな変化はありません。
10時台のトランザクションが少しありますが、これは開場前の時間帯でおためし製品の購入(操作の練習)です。
全体レポートによると14時(開始3時間)の段階で30%のサークルの頒布物がなくなっているため、感覚的にも納得できる動向です。
その他
今回、電子決済についてまとめました。
これまではアナログですべてのやりとりが行われていたためリアルイベントでの客観的なデータを集めることが難しい状況でした。
かんたん後払いを通じて会場の様子を数字として得られるようになりました。
トランザクション情報からは合わせ買いや時間帯別の混雑ヒートマップが作れそうですが、今回は処理が間に合いませんでした。
ひきつづきイベントの可視化や頒布動向について検証していき、全体レポートと同じく情報を共有していければと考えています。