技術書典7サークル参加アンケート結果と分析

技術書典 代表 @mhidaka です。
技術書典8の開催にあわせて技術書典7のサークル参加アンケートを公開します。

技術書典とは

技術書典とは技術書のイベントで、広く技術のことについて知れるお祭りです。
技術書典は、いろんな技術の普及を手伝いたいとの想いではじまりました。

技術書典7開催情報(振り返り)

第7回 技術書典
日時:2019年9月22日(日)11:00〜17:00
場所:池袋サンシャインシティ展示ホールC/D
サークル参加:合計642サークル
来場数:9,700人(※)

第7回は池袋サンシャインシティ 展示ホールC/Dをつかったはじめての2ホール開催でした。技術書典6に引き続き、来場者数10,000人前後です。完全に行列が解消されたのは15~16時でした。

※参加者数は一般来場者のカウントとサークル入場者数を合算した9,700人です。カウントは入場口、入場フリー後はすべての入場口で実施しました。ホール間の移動は再入場として含んでいません。技術書典6の来場数は再入場を排除できない動線であったため前回と厳密には基準が異なった来場数ですが、混雑状況から以前とほぼ同等の来場人数と考えています。

会場環境

実施にあたって施設面積6,000平方メートルを使い、640サークルが技術的創作を披露し、10,000人弱が集いました。出展参加の倍率は約1.1倍です。前回の1.5倍とくらべて減少していますが依然として定数を超える申込を頂いています。

今回はフロア数を1から2へ増やしてサークル出展可能な場所を広く確保した結果、サークル出展数は36%増加しました。注目を集めたにもかかわらず事故なく終えられたことは出展参加者、一般参加者をはじめみなさまのおかげです。ありがとうございました。

大規模開催でのオペレーションとなるため安全確保を優先に運営しています。イベントで確保した面積は前回比2倍になっていますが出展サークル数の増加は36%の増加にとどまっています。こちらは施設と協議し、安全性を考慮した結果によるものです。具体的には行列の破綻防止のための待機場所を施設内部に確保、看板や案内板、上下移動のための人溜まりバッファ確保、サークルスペースの改善・通路幅の改善(100〜150cm単位での増加)などを行った結果です。

一般来場者向けの動線変更も同時に行い、60箇所以上の案内板を設置していましたが展示ホール間の移動方法がわかりにくいなど課題もありました。今回から導入した吊り看板は配置がわかりやすいと好評でした。当日は託児サービスの充実(運営負担で設置し、出展者は無料で利用できました)など参加しやすい環境づくりを進めています。またメディア取材も入りイベントとしての定着を感じています。今回、頂いたフィードバックをもとに次回の改善につなげていきます。

振り返りレポート

ウェブ上には参加者による来場レポートなどがあります。さがしてみてください。以下はこれまでの技術書典のアンケート結果です。あわせてどうぞ。

本の対象範囲

技術書とは、「ITや機械工作とその周辺領域について書いた本」を指します。ソフトウェア、ハードウェア、開発環境、コンピュータサイエンスからその他科学・工学全般などのジャンルを対象としています。たとえばプログラミング解説書のように現存する技術要素の解説を行うもの、架空の工学、未知の科学技術なども対象です。また作ってみた、やってみた、など体験談や考察、上記のジャンルに付帯した開発効率を高める方法のようなライフスタイル、実体験も歓迎します。自分の積み重ねてきたマニアックな技術や成果、ノウハウを詳細に書き記し世に広めたいとは思いませんか?

技術書典はハード、ソフト、機械、科学、組織、エンジニアリングに関わるライフスタイルや考察、その他これらの応用分野、教育など技術ジャンルを問わず「技術」をテーマにしたお祭りです。たとえばTechBoosterは主にソフトウェア、あとハードウェアをチョットデキル感じです。

アンケート結果

アンケートは305サークルから回答をいただきました(回答率47.5%)。回答いただきました出展者のみなさん、ありがとうございます。

アンケート結果は過去に学び、未来を掴み取る統計情報として毎回まとめているものです。次回開催の参考に使うことを想定していますが確固とした指標ではありません。各項目は必須ではない&多値回答可能ですので合計値が305になるわけでもありません。質問の文言など見切れ対応、その他および自由回答を画像から削除するなどグラフは適宜加工しています。

参加サークル調査

執筆経験について

執筆活動について尋ねました。「執筆は初めて」「コミケなど他のイベントに参加したことがある」「技術書典から執筆を開始した」「商業でも活動している」「その他」からの多肢選択式です。その他については割愛しています。

初めての人が約24.2%です。前回のアンケートでは27%でした。サークル出展ブースは前回の1.36倍に規模を拡大していますが、大きな差はでませんでした。商業誌への寄稿、著書がありプロとして活躍している実績のある方は16.6%です。「技術書典から執筆を開始した」回答が52.6%で最も多く、運営としても発表の場としての定着、コミュニケーションの場として認知されることを目指していきます。

技術書典でははじめての人向けのサポートを充実していきたいと考えており、初心者向けの技術書の制作、執筆勉強会を定期的に開催しています。

https://techbookfest.connpass.com/ メンバーになると勉強会の開催時に通知が届きます。技術書典ならではの工夫、編集や出版のサポートを目的とした場所です。技術書執筆に際しての相談や添削が受けられます。

調査を通じて

調査は頒布部数を競う目的で公開しているものではありません。技術的な創作活動と向き合うための参考資料として提供しています。

技術書典への参加目的は出展者、一般参加者、いずれも動機は自由であるべきだと考えています(そのために、お互いを尊重する行動規範やアンチハラスメントポリシーがあります)。広く技術を届けたいという想いからたくさんの本を用意するひとや、はじめてでどのような場である基準がわからないひとの不安を解消したいと考えて調査結果・分析の数値は客観的事実に基づくように細心の注意を払って確認して公開しています。

我々は、どなたも技術書典というお祭りを楽しんでほしいです。活動経験の有無や誰かの価値観を基準に評価することはあまり望んでいません。個々人の充実感、達成感、価値観を基準として分析を活用してください。

これらの分析を新しい挑戦をする参考指標としたり、自らの表現の幅や知識的探究を深めるために利用したり、興味本位でやってみた!推したい!俺より強いやつに会いたい!でも大丈夫です。技術が面白いと感じる方向へ突き進んでいただけると嬉しいです。

部数・部数のアンケートまとめ

アンケート結果と回答率から当日の全サークルの持込部数は257,000部、頒布部数は117,000部です。
運営事務局の用意した「かんたん後払い」利用状況から推計した統計値とほぼ合致しており、117,000冊の技術書は参加者一人あたりで12.0冊の流通量です。

内訳は次の通りです。

  • 持込部数:257,000部

    • うち紙の書籍:157,000部
    • うち電子書籍:100,000部※
  • 頒布部数:117,000部

    • うち紙の書籍:87,000部
    • うち電子書籍:30,000部

※電子書籍は公式サポートを開始した関係で割合が増えてきています。技術書典では電子版を用意したら在庫切れがなくなる環境に近づいてきていることから合算表記は今回で最後(前回アンケートから進めていましたが今後は紙面と電子を分離して扱っていきます)になりそうです。在庫という概念が適さないため以降の数値は、断りがないかぎり紙の書籍をベースとしたものです。

持込部数257,000部は前回より20%増加しており、過去最高値です。
紙の書籍157,000部に対しての頒布お持ち帰り率は54.3%でした。会場に持ち込まれた紙の書籍の54%が当日のうちに読者に届きました!

かんたん後払いの流通総数に対する利用率も20%程度になりました。ダウンロード機能、会計の簡単さなどで価値を見出して使って頂いてます。運営としてもサークル配置場所への到達や購入への障壁を下げていく場づくりを通じて面白い技術との出会いを推進できれば大変うれしく思います。

持込部数の詳細

当日、持ち込んだ数はサークル単位では平均245部です。新しく書き下ろした新刊と過去の技術書典で配布した実績のある既刊に分離して計算しているので内訳も掲載しておきます。この内訳は1品種ごとの統計値で、サークル単位の平均ではない点に気をつけてください。

  • 新刊1品種あたり:平均140部、最頻値 100部、中央値100部
  • 既刊1品種あたり:平均67部、最頻値50部、中央値40部

新刊の平均値は前回より約10%程度下落しています。サークル数が470から642へ36%増加している関係で総数は増加傾向です。最頻値、中央値はともに100部です。既刊は平均67部、中央値は40部です。

新刊・既刊の頒布

持ち込み傾向をみるとこれまで通り95%超のサークルが新刊を用意しています。既刊は5割強です。

  • 新刊:平均1.4タイトル(1サークルあたり)
  • 既刊:平均タイトル数割愛(サンプル偏りにつき)

なお既刊では1〜2品種持ち込む場合の部数は大きめです。過去の傾向からは既刊持込の75%が該当しています。3品種以上を持ち込む場合では1品種あたりはより少部数になります。出展者の頒布方針によって変わるため平均値を省略としました(実態より離れるため)。

新刊については次のとおりです。

頒布傾向

アンケートでは4種類以上もありましたが割愛しています。平均的なサークル像は新刊は100〜150部の持込みです。たとえば新刊を1タイトル150部、既刊を1タイトル50部用意していればサークル単位の持込部数は合計200部です。平均1.4タイトルの新刊を用意しています(2タイトルを用意した時点で持込部数の合計が200〜300部になる)。新刊と既刊の持ち込み比率は10対5です。おおよそ5割強のサークルで既刊を扱っています。

サークルと持込部数、頒布価格

前述の結果を踏まえてアンケート回答者のうちサークル調査「執筆は初めて」群(全体の25%、初参加)と「過去に執筆経験がある」(75%、2回以上)に分けた場合の持込部数は次のとおりです。

  • 初参加 サークルあたり持込平均:180部
  • 2回以上 サークルあたり持込平均:280部

これらは新刊・既刊の品種が合算されている点に注意してください(またアンケートは自由回答なので合算しても結果が一致しません)。どちらも前回調査より微減していますが傾向に変化はありません。出展者の参加歴が大きなファクターであることにかわりありません。頒布傾向などの分析は後段でフォローしていきます。

現在の所、売り切れと価格帯の相関は得られていません。基準値は1,000円/冊と考えて良さそうですが数百円から2,000円を超えるものまで幅広く価格帯が存在しています。詳しい分析は技術書典5の「かんたん後払い」統計情報の解説記事が参考になります。

頒布傾向に1,000円でXXページ必要といった内容は導出できていません。直感的には会場で見かけた面白そうな本が次も残っていることは考えにくいため「良いと感じたらすぐに買う」という行動が優先されていると想像しています。

内容が尖っていても一般参加者に響いて「面白いな」「これなら読みたいな」と感じたら価格をほとんど気にせず購入していると推測されます。

頒布部数と完売率からみる全体傾向

サークルアンケートからは当日の頒布部数はサークル平均154部、完売率が36%でした。前回の平均187部、59.4%から23.4ポイントの減少です。

アンケート結果

こちらはより詳しい分析が必要でしょう。アンケートより持込部数(紙の書籍のみ)ごとサークルを分類しました。

アンケート結果

X軸はサークルの分類で、持込部数に合わせて5分割したグループです。Y軸は頒布率で0.0であれば在庫すべてが残っている状態、1.0であれば完売を示します。0.5であれば半分が頒布されたという状態を示します。

X軸のグループは左から「0から50部の持込」「50から100部持込」「100から300部持込」「300から500部持込」「500部以上の持込」です。グラフのボックスは25〜75%の範囲を示しています。ボックスの上下にでている線は上端から5%値、下端から95%値までの範囲です。のこりの0〜5%、95〜100%の両端5%位置にあるデータは外れ値としてグラフからは除外しています。

技術書典で該当サークルがもっとも多い「100から300部持込」を見ると25〜75%範囲(つまりサークルのうち真ん中あたりの半分は)0.4〜0.8の中央の範囲に分布しており、4分の1は0.8以上(完売を含む)、残りの4分の1は0.2〜0.4に所属しています。

グラフからは次のことがらが読み取れます。50部未満の持ち込み数では需要に対して少なすぎた傾向がある。300〜500部を持ち込んだグループは全体的に余り、500部以上を持ち込んだサークルでは持ち直しているという傾向が読み取れます。

今回、サークルの規模に応じて確認できるようにデータを分類しましたが印刷部数が50/100/200などキリがいい数字に集中することから切りの良い範囲で5群としました。

サークル単位での頒布傾向

今回、紙の書籍と電子書籍の頒布を行ったサークルの頒布部数の平均は次の通りです。

  • 紙面の頒布平均:133部
  • 電子の頒布平均:48部

これらは品種を合算したサークルごとの平均値ということは気をつけてください。紙も電子も扱うサークルの場合は、頒布部数の平均は合算した181部です。これは電子のみの取り扱いや紙面だけの場合などサークルごとに事情が異なるため参考値としてください。

前述の完売率36%という結果は出展サークルの単純増加が影響しています。来場者数に前回から大きな変化がないためです。前回に比べると来場者の需要を満たしている現状が見て取れますが、さらに別の角度からサークル頒布状況を分析すると次のようなデータが得られました。

  • 初参加 サークルあたり持込平均:180部 頒布平均:120部
  • 2回以上 サークルあたり持込平均:280部 頒布平均:140部

2回以上参加しているサークルが全体平均245部を超える部数を持込み、半数を頒布しています。初参加のサークルは保守的な部数見積もりで持ち込んでいます。また初参加と2回以上での頒布平均は、持込部数の差(100部)よりも小さい20部であることが読み取れます。

この傾向の要因はいくつか考えられそうですが、サークル出展に使える広さは一定のため、目の付きやすさやジャンルの違い、SNSなどでのPRの違いなどがあるかも知れません。また技術書典では当日の出展ブース配置は、タグをつかってなるべく近い領域が並ぶように工夫しています。2冊目の扱う技術領域が出展ブースの近傍にない場合、事前のPR活動の成果に頼らざるを得ませんので頒布数がばらつきやすい傾向にあります。

頒布のトレンド

アンケートから36.6%のサークルで何らかの品種がなくなっており、紙の書籍に絞ると54.3%が一般参加者へ届けられています(電子書籍のカードなどを除いた紙の持込部数と頒布数の比率)。一般参加者あたり平均12.0冊の購入というデータからは高い購買意欲を示しています。

出展者が増えたことで頒布傾向にばらつきが広がっており、持ち込み部数は各サークルごとに熟慮が必要ですが依然として需要は高い状況です。
当日は早いサークルで13時までに完売がアンケート回答の10%、15時までが50%弱(全サークル推定値では100程度)のサークルで新刊、または既刊いずれかの品種が完売になっています。

頒布部数のトレンド

当日は開場直後(1時間以内)に新刊が売り切れたサークルが4%程度と推計できています。時間別の頒布動向を知る別の資料として、かんたん後払いでの購買動向はこのようになっています。

購買のトレンド

青いグラフが技術書典6の購入者数、赤いグラフが技術書典7です。比較のため掲載していますが利用率の向上に伴い購入者数が伸びていることがわかります。有料時間帯(11:00〜12:59)での購入が多く、それ以降はなだらかです。落ち着く要因としては売り切れや有料時間帯の購買意欲が高いなどが主因であると推測しています。かんたん後払いユーザーは購買意欲が強いひとに偏っているのでは?という疑問もありましたので各サークルのアンケート結果(頒布部数と、かんたん後払いの利用統計)を調査し、一般来場者とほぼ変わらない利用動向であると確認しましています。まんべんなく使われており、決済手段の選択肢として定着していることが伺えます。

主宰雑感

今回は、はじめての2フロア構成で実施した技術書典です。2F 展示ホールDと3F 展示ホールCでの頒布動向が違ったか追加調査を実施しました。調査には技術書典にて提供するかんたん後払いのデータを使って分析しています(全体流通の20%をカバー。一般来場者の母集団とかんたん後払い利用集団で利用傾向に違いがあるかも気になるところですので予備調査を行っています。来場時刻、利用回数などを調べた限りでは傾向の違いを示すデータは確認できませんでした)。

出展数も増加していることからサークルの規模ごとの検証を行いました。このほうが実態に近づくと考えたためです(TechBoosterのように1000冊を配るような大規模なサークルと初参加のサークルは前提とする条件が違いすぎるため)。次の表は、サークルチェック数でグルーピングして購入部数の平均・標準偏差を求めてた結果です。全体の8割となる約500サークルから得ました。

フロア サークルチェック 購入者数の平均 標準偏差 該当サークル数
2F (0, 50] 10.42 8.68 60
2F (50, 100] 22.70 11.22 99
2F (100, 300] 47.51 25.38 112
2F (300, 500] 205.00 178.78 5
3F (0, 50] 13.62 7.96 26
3F (50, 100] 20.89 14.81 62
3F (100, 300] 50.58 23.22 118
3F (300, 500] 122.81 38.79 21

※かんたん後払い利用者のユニーク数は2Fで2,120名、3Fは2,250名です。(は開区間を表し、]は閉区間です。

サークルチェック数が(0,50]、(50,100]、(100,300]、(300-500]、(500,1000]の5つのグループで調査しましたが(500,1000]はサンプル数が極端に少ないため割愛し、結果からは排除しています。有効桁数は小数点以下2位です。購入者数は、かんたん後払いの利用統計をベースに集計しています(もし一般参加全体の購入者数の平均を知りたい場合、かんたん後払いの利用率は20%なので、簡易的に購入者数の平均を5倍すると推計できます)。標準偏差が高いと購入者数のばらつきが多い(分散が高い)ことを示しています。

該当サークル数が最も多いボリュームゾーンは(100, 300]グループです。100以上300未満のサークルチェックを得ているサークル群です。全体傾向としてチェック数が増加すると標準偏差も大きくなる傾向にあることが読み取れます。これは注目規模が大きくなると購入者数もばらつきも大きくなるということを示しています。なお表中の(300, 500]グループは2Fのサンプル数が極端に少ないので参考外としました(標準偏差も大きいため妥当と判断しています)。

調査結果からは2Fと3Fでの違いは発見できませんでした。傾向としては3Fのほうがサークルチェック数が平均的に高く、事前PRの面では有利であったと考えられます。また2Fは購入者数の平均が小さめにでていることから混雑の影響があり、頒布が伸び悩んだ可能性があります(頒布環境としては不利であった可能性がある)。変わった傾向を発見できなかったので書いてはいませんが「配置が頒布に影響したか」や「サークルチェックしたひとが購買にたどり着いたか」というコンバージョン率も調べています。こちらも2Fや3Fまたは配置ブロックごとの差などは見つかっていません。

これまでの統計データから平均的に「購入者の半数弱が事前にサークルチェックしている」という事実がわかっており、技術書典においては仮説が3つ考えています。「サークルチェック数という指標は出展総数に連動して重み付けが変わるのではないか」「2Fの展示ホールDは混雑により購入機会を逸失していた」「配置やブロック、ジャンルによらず購入者の半数弱はサークルチェック済みなので事前のPRなどエンゲージメント強化が有効」です。

信頼できる実績値として「かんたん後払い」利用データを使って分析し、サークルアンケートデータで補強できるか、反証できないかと裏付けを進める方法を取って注意深く確認をしてきました。参加サークルが増えていくなか大規模サークルでの頒布のばらつきが読み取れる結果となりました(標準偏差が高くなる傾向がある)。

また会場環境も大きく違い、3Fのほうが天井高が1.0m程度高く、それぞれの通路幅も2Fより1.0m以上広い4.0mを超えるかたちでゆったりと過ごせた一方、通路が3本に増えており、柱が大きく見通しが悪いなど会場に人が少なかった印象を受けたかもしれません。入場規制期待より頒布が伸びなかったと感じたとき、会場環境の違いに原因があったと考えるストーリーはマッチしやすいです。

しかし、ここで紹介したデータ分析は統計値であって、これ自体に意味はありません。我々は「個別のサークルごとに何を感じたか・満足したか」が重要だと考えています。創作活動においてもっとも貴重なリソースは著者のやる気であり、満足度だからです。「たくさん頒布したかったのにできなかった」のであれば期待値形成に失敗した結果ですし「技術書を手にとってもらえてうれしい」「みんなに届けることができてよかった」のであれば良い結果を一緒に喜びたいと考えてます。

ここまで余裕のある空間を使うことは今回の技術書典が初めてでした。一般参加者が動きやすいこともあり、呼び込みや人混みが苦手な人は避けて歩いてしまい近寄ってもらえなかったなどあるかもしれませんし、頒布している内容がわかりにくいとせっかくよい内容でも近寄られなかったという展示のさらなる工夫が必要な可能性もあります。技術書典は一般来場者、出展者いずれも同じ空間を共有し、技術を楽しむ稀有な場所です。今回の課題を糧に出展者と一緒に改善を行い、継続性を重視していきたいです。今後も、技術を得る場・技術的なコミュニケーションの場として可能な限り過ごしやすい場作りを目指していきます。

出展者のみなさんが寄せてくれるアンケートや、ファンミーティングは貴重な意見交換の機会です。あらためてお礼申し上げます。ご協力ありがとうございました。今回も新刊を発行するサークルが95%弱いること、頒布部数が1,000を超えるサークルが複数出ていること、サークル数が増えてばらつきが大きくなってきていること、いずれも高い関心、新しい技術書のかたちとして技術書典の認知が進んだ結果ですが、まだまだ変化が続きます。出展サークルの25%は依然としてはじめての執筆です。毎回、新しい技術書典が生まれてくる姿だと感じて、一緒に執筆の苦労・当日の体験を楽しんでもらえると助かります。

変化を許容し、これまで以上に面白い場となることを願っています。

サークルの体験向上に繋げるアンケート

コミュニケーションについて

1:全然なかった~5:十分あったの5段階評価です。前回と傾向は変わりません。参加者数が1万人を越える状況が続いており、大幅な改善はありませんでした。あいかわらず頒布だけでも大変な状況が伺えます。

展示形態の選択肢(複数回答) 利用率
運営の用意したサークルべんりカード(QRコード)を利用した 83.2%
見本誌による説明を行った 93.3%
実演を行った 12.8%
タブレット、PCなど電子機器を使った 14.1%
ポスターを掲示した 49.5%
おしながきを用意した(頒布物一覧表) 43.8%

多肢選択式です。展示方法は見本誌、実演、タブレットによる展示が一般的でした。展示・頒布にかかる手間ははじめての参加者には難しい場合もあるので運営によるサポートも行っています。

サークル意識調査

「会場での会話・頒布を通じた充実感、楽しさ」「読者からの反響」「収益(売上などで利益が出ること)」「趣味性(自分のやりたいことができていること)」「実益(技術を発信することで知名度が上がる、有名になるなど仕事につながること)」「コミュニティ(友人・知人とのつながりを持てること)」「技術分野での貢献(より多くの人へ技術を届けること)」からの多肢選択式です。

どれか特定の要素に偏ることなく、まんべんなく意義を感じる要素があることが読み取れます。これも前回から変わらない傾向です。
特に多かった項目が「充実感、楽しさ」および「読者からの反響」「趣味性」です。反響の部分は人とのつながりが創作活動において大きな力になることが示されてるといえます。

前回よりも読者の反応などを重視する声が増えています。技術コミュニティでのつながり、発表の場としての期待が伺えます。

次回参加について

97%超!いつもありがとうございます。今回も嬉しい回答結果となりました。反省点もあるので次回も改善の取り組みを通じて、よりよいイベントとなるように運営していきます。

技術書典8 is coming.

技術書典8は11月30日まで出展サークル募集中です!もし、情報を取りこぼしたくないというかたはTwitterをフォローいただくか、
Webサイトよりユーザ登録をしてください。

Your browser is out-of-date!

Update your browser to view this website correctly. Update my browser now

×